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ミワいつか
2006/05/16(Tue)
 
 
たった4ユーロで世界一の音響を堪能する!!


今日もおしゃれをして出かける(といっても昨日とまったく同じ格好!)。近現代の美術から建築、音楽、モード、演劇、ニューメディアなど40以上の施設が集まるカルチャーゾーンとして2001年にオープンしたMQ(MuseumsQuartier Wien)でクラウディアとランチの待ち合わせをしたので、到着した11時すぎ電話をかけてみる。まだ仕事中なのかつながらなかったので、現代美術館MUMOK(Museum of Modern Art Ludwig Foundation Vienna)だけまず観てしまうことにした。Ortner & Ortner設計の玄武岩でつくられた黒い建物。中は白くて涼しいホワイトキューブ。久しぶりの現代美術館のにおいに深呼吸する。地下の展示はグロテスクなものだったけれど、KONTAKTというタイトルのERSTE BANK GROUPのコレクションの展示はなかなか面白かった。分量もちょうどよい。

再びクラウディアに電話をしてブックストアに来てもらうことにした。広告の仕事をしている同僚も一緒で、MQ内のカフェでランチ。メニューの説明をしてもらって頼んだ5.9ユーロのベジタブルラザニアは、卵ベースのラザニアで、ズッキーニやニンジンやいろんな野菜の千切りが入っていて初めて食べるタイプのラザニア。ボリュームたっぷりで大満足。ここのカフェは深夜まで営業していてクラウディアも大好きな場所だそう。夜にまた会う約束をして、今となっては懐かしい勤務中の1時間の短い休憩の後クラウディアは再び仕事場に戻っていった。

ブックストアで少し本を見て、クラウディアお勧めの市場ナッシュマルクトへ行ってみる。美味しそうなワインとチーズとハムを指差し注文しながらその場で食べている人たちもいた。グラス一杯分の丸くてかわいいボトルのシャンパンも発見。目移りしながら市場を抜けて、カフェでお茶をする。お腹を壊しているにも関わらず暑かったのでアイスウィンナーコーヒーを頼んじゃう。銀のトレイに水のグラスも載ってきてついついかわいいこのウィーンセットをまた写真におさめる。

今回ウィーンで一番の楽しみにしていたクラシックコンサートのチケットを買いにムジークフェラインへ歩いて向かう。ムジークフェライン(Musikverein/楽友協会)は毎年ウィーンフィルハーモニー交響楽団のニューイヤー・コンサートが行われているところで、オペラ座の少し南に建物がある。オペラはシュターツオーパ(STAATSOPER)、オペレッタはウィーンで2番目に大きいオペラ座フォルクスオーパ(VOLKSOPER)で行われる。コンサートが行われるところとしてはウィーン・コンツェルトハウスも有名だけれど、このムジークフェラインは世界でも屈指の音響の会場だと言われている。昨日インフォメーションで聞いたらすでにチケットは売り切れとのことだったので、建物の前では立ち見の人たちが列をつくっているのかと思ったら、建物脇から入るチケット売り場で並びもせずにすんなり買えてしまった。なんと立ち見はたった4ユーロ。金箔押しされたゴージャスなチケットを手にしながらついでに国立歌劇場の音楽監督である小澤征爾さんについて尋ねると、病気で来年まで指揮をふられないとのこと。1月に体調を崩されて今シーズンの公演はすべてから降板して休養されているそう。小澤征爾さんの指揮はずっと観たい聞きたいと思いながら、まだ果たせていない。ここウィーンの地で叶えられたら最高だったけれど、療養中だとは知らなかった。

並ばなくてよくなったので、少しだけ時間ができた。しかしクラシックなウィーンのカフェの雰囲気に誘われるがままに、私たちはカフェに入ってしまう。ウィーンではクリムトが見たかったけれど、今行ってしまうとコンサートまでの時間がぎりぎりになってしまう。旅をスタートした頃の私たちだったら絶対に動いていただろうけれども、次に来たときの楽しみをとっておくということにしてのんびりとお茶を楽しむことにした。私はさっきのカフェで食べなかったザッハトルテを注文する。今日は旅に出て3ヶ月目なので、その記念ということで。

開演の19時半が近づくと、隣のマダムがいそいそと支度をして出ていった。奥の席にもどうやらクラシックを聞きに行くお客さんがいるようで、私たちも後に続いてお店を出る。ホールの2階への階段を駆け上がると、チューニングの音が聞こえている!ホールの人によって開けられたドアの先にあった立ち見席は、ムジークフェラインの四角い箱の椅子席の後ろのスペースで、椅子席との間に太い柱と木製の柵のしきりがある。「黄金のホール」と言われるだけあるきらきらのホールに、一気にテンションがあがる!!大きな拍手とともに指揮者が迎えられ、世界一の音響とも言われるこのホールから一体どんな音が聞こえてくるのかドキドキそしてわくわくする。指揮者のその腕が振り下ろされるのを待つ間、誰かの椅子をきしませた音が、ホールに響いた。

指揮者がすばらしかった。指揮者はまるで役者!あっちを向いたりこっちを向いたり、大きく動いたり、小さく動いたり、全身を使いながらある空間をまとめあげ、私たちを別世界へと連れて行ってくれる。腕をぐるぐるまわしたりする大げさまでの指揮とオーケストラおの関係が、見ていて聞いていて、とてもとても楽しい。1曲目は指揮者にすっかり目を奪われてしまった。柱の後ろだからだろうか、ほんの少しだけ思っていたより音が届いてこない気がしていたのを吹き飛ばすように、2曲目はすばらしいトランペットのソロが柱を越えて飛び込んできた。あんなにも軽々しく、そして強く、美しい音をトランペットで出しえるということに感服。あまりの指使いに会場の人たちが笑う一シーンも。ただただ楽しくって、じっとしてはいられなかった。この十分な広さの立ち見スペースを使って踊りたかったくらい。大きな拍手と共に休憩に入る。興奮して少し離れたところで聴いていたミワの方を見たら、ミワも同じように興奮しているようだった。マダムたちはロビーにワインやらを飲んでいる。私たちは場所の確保でその場を離れないようにしながら、大きな鏡に姿を映して「おしゃれしてきた甲斐があった」などと言いながら写真をとったりしていた。休憩を挟んでの3曲目は、なんとベートーベン交響曲第5番『運命』!!知っているような曲が聴けるとは思っていなくてプログラムのチェックもしていなかっただけに、あの「ダダダダーン」の始まりに、またまた大興奮!!ひょっとしたらあのカラヤンもここウィーンで「運命」を振ったことがあるのだろうか。2-3時間も立ちっぱなしで耐えられるだろうかなんていう不安はどこへやら、もっともっと聴いていたいのにあっという間に時間が経っていた。手が痛くなるまで拍手をしてお客さんがひいたあと、椅子席の会場の方も覗いてみた。音響効果を確かめるために叫んだ声がよく響く。

こんなにまで楽しくクラシックを聴けたのは初めてで、会場を出てもまだ体が火照っている。しばらくしてクラウディアと仲良く手をつないでボーイフレンドのアレックスがやって来た。アレックスはムジークフェラインでチケット販売に関わる仕事をしていて、この日もチケットをとってくれようとしていた。私たちの興奮冷めやらぬ状態に「セイジ・オザワとはトモダチ。」と冗談でさらに私を興奮される。トラムに乗って、今度はWEDEKINDというウィーンのロックバンドのライヴを聞きながら、お酒を飲む。これまた久しぶりのロックバンドの生音を楽しんで、明日は移動日なので私たちは先に失礼することにする。クラウディアにお別れを言ったあと、アレックスはUndergroundまで私たちを送ってくれた。「両方向行きが来るから気をつけて」とわざわざ教えてくれたのに間違えて乗りそうになりながら、帰路につく。とっても楽しかった一日。しかし明日は朝早い。寝てしまうと起きれそうにないので、寝ないで過ごすことにした。朝用にブルガリアで買ったお米の残りを炊いて、何もなかったのでダシの素をまぜておにぎりを作ってみる。おかか風味!


<ムジークフェライン 2006年5月16日の公演プログラム>

■Joseph Haydn
Symphonie C -Dur Hob.I:82 《L'Ours》

■Grame Koehne
High Art.Konzert fur Trompete und Orchester
Kompiert in Aurtrag von Sydney Symphony fur James Morrison

(pause)

■Ludwig van Beethoven
Symphonie Nr.5 c-moll op.67

※小澤征爾さんは来年2007年4月29日、ワーグナーのオペラ「さまよえるオランダ人」で同歌劇場に復帰されるそう。2010年夏までの任期の間にウィーンをまた訪れたいなぁ。
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